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ねぇ、パパこっち向いて―夫婦関係につまずいた時の生き方ヒント集
ねぇ、パパこっち向いて―夫婦関係につまずいた時の生き方ヒント集 (JUGEMレビュー »)
水野 渚
人気メルマガの書籍化! 夫婦について、家族について、考えてみたい人は必読。心理学用語も学べますよ。 実はコレ、昔、私がペンネームで書いた本だし……。
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KOTOBAYA ブログ

『天国からの招き猫』 ただいま連載中☆
都合によりおやすみします
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    ごめんにゃさい。都合によりおやすみさせていただいています。時間がなかなかとれません。復帰の日は未定ですが、いつか復帰しますので、しばらくお待ちくださいね。(ねこより)
    | - | 09:57 | - | - | - | ログピに投稿する |
    天国からの招き猫 145
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       初出勤の日、用意した菓子折りと必要な書類とをそろえ、私は職場に向かった。スーツを着るのは久しぶりだったが、自然に背筋がピンと伸びた。服装というのは、どうしてこうまでも着る人の気持ちを変えてしまうのだろう。

       幸いなことに仕事は楽しかった。DTP関係の仕事を任されていたのでやりがいもあったし、人間関係にも恵まれた。猫のいない生活は空虚ではあったが、少なくても仕事をしている間は、そのことを忘れられる気がした。

       しかし、心配していたことが起こった。まさかとは思っていたのだが、2カ月を過ぎたあたりから体調がおかしいのだ。朝起きると吐き気がするし、体がだるく熱っぽい。やっぱり、あのとき……。私は絶望的な気持ちになった。
      | 天国からの招き猫 | 09:37 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
      天国からの招き猫 144
      0


         深夜になって帰宅した夫に就職のことを告げた。
         相談もなしに仕事を決めたことをとがめられるだろうと覚悟していたが、夫は表情も変えずにこう言った。
        「うちのこと、大丈夫なんだろうな」
        「うん。迷惑はかけないようにするから」

         別にどうでもいいといった様子で、夫は私とは目をあわせないままバスルームに向かった。不機嫌だったが、とりあえず反対されなかった。この人は、私がどう生きようとどうでもいいのだ。

         しかし、もう一つ、小さくて大きな出来事が起こった。結婚してからというもの、まるで私の存在など無視した生活を送っていた夫が、感情の交流などまるでないまま、その夜、淡々と私を抱いだのだった。
        | 天国からの招き猫 | 10:08 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
        天国からの招き猫 143
        0
           猫の反応を見た私は、努めて明るく言った。
          「いいよ。行ってらっしゃい。あんたが決めたんだからよっぽどのことなのよね。それで、出発はいつ?」
          「今から」

          「そんなあ。せめてあしたにしてよ。今夜はあんたの好きなサーモンステーキ作るから、ね、ね」
          「ごめん。だめなんだ。仕事がんばれよ。じゃあ」

           唐突に猫が消えた。
           私は慌てて叫んだ。
          「ちょっと待って! 待ってよ!」

           不審に思った通りすがりの人が振り返ってこっちを見ているので、仕方なく私は平静を装って歩き出した。

           人は何かをひとつ手に入れると何かをひとつ失うのだと有名な占い師が雑誌に書いていたっけ。私は就職が決まったうれしさを置き忘れてとぼとぼと駅に向かった。
          | 天国からの招き猫 | 00:04 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
          天国からの招き猫 142
          0
             猫はちょっとの間沈黙した後、意を決したように言った。
            「おいら、しばらく旅に出るよ」
            「旅行? いいわね。いつもこき使ってるから楽しんできて。それで、どこに行くの?」

            「北ヨーロッパ方面かな。まだはっきりしていないんだ」
            「ヨ、ヨーロッパ? ずいぶん思い切ったわね。それじゃ10日くらいはいなくなっちゃうのね」
            「いや、3カ月か半年か、もっと長くなるかも」

            「ええっ! そんなの寂しすぎる。働き始めたら忙しくなるし、かなりのダメージだなあ。どうしても行くの?」
            「うん。行く。早くしないと間に合わなくなる」
            「間に合わないって、何に?」
            「いや、ちょっと……」
            | 天国からの招き猫 | 08:50 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
            天国からの招き猫 141
            0


               印刷所を出ると、猫が電信柱の横で待っていた。

              「猫! どうしてここがわかったの?」
              「ちょっと大事な用があってさ、実はおまえさんのこと探てしたんだ」

              「あのね、決まったの、就職。来週からだって、よかった。実はあきらめかけてたんだ。あの社長さん、ものすごくいい人だったのよ。このご時世に仕事をいただけるなんてありがたい話よね。よーし、仕事がんばるぞ!」

              「よかったね」
               はしゃぐ私とは対照的に、猫の表情は暗かった。
              「どうしたの? 具合悪いの?」
              「いや、そうじゃないけど」
              「そうだ、大事な用ってなに?」
              | 天国からの招き猫 | 11:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
              天国からの招き猫 140
              0
                 しばらく話をした後で、社長さんは、人なつっこい笑顔でこういった。
                「広告代理店で働いてたんなら話が早いよ。来週からでも来てくれるかな」
                「ほんとですか! ありがとうございます」
                 捨てる神あれば拾う神ありとはこのことだ。私は何度も何度も頭を下げた。
                | 天国からの招き猫 | 11:31 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
                天国からの招き猫 139
                0
                   何度応募しても断られ続けていた私は、自分という存在が、世の中から全く必要とされていない絶望的な気持ちになっていた。

                   就職をあきらめそうになったとき、小さな印刷屋の前の「パートさん募集」看板が目に入った。思い切って訪ねてみると、受付の中年の女性のほかに人の姿がなかったが、しばらく待たされた後、作業服を着た社長さんらしからぬ社長さんが現れた。初対面に違いないのだが、どこかで会ったことがあるような懐かしい印象のある人だった。
                  | 天国からの招き猫 | 18:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
                  天国からの招き猫 138
                  0


                     予想していたとおり、就職先はなかなか見つからなかった。書類審査を通っても、面接では必ずこう聞かれた。
                    「これから、すぐに出産のために休むことになるんじゃないですか?」

                    「その予定はありませんので……」
                     私は口ごもりながらも、そう答えるのがやっとだった。
                    「予定はないといってもねえ」
                     口元に皮肉な笑みを漂わせ、そう切り返されてしまう。

                     私、絶対妊娠なんてしません! だいたい、結婚してから性交渉なんて半年に1度もないんですから。夫と寝室だって別です。会話だってないんです。だから妊娠なんてするわけないじゃないですか。お願いです。雇ってください。

                     こう叫びたかった。しかし、送られてくる薄っぺらい封書を開くと、いつも非採用決定通知書が入っていた。
                    | 天国からの招き猫 | 01:23 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |
                    天国からの招き猫 137
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                       翌日、陽の当たる窓際で毛繕いをしてい猫に私は話しかけた。
                      「私、仕事探そうかな」
                      「おう。そうきたか」

                      「この不景気のときに、雇ってくれるところがあるかどうかわかんないけど」
                      「求めよ、さらば与えられん! 最初からあきらめちゃ何も変わんないさ。行動あるのみ」
                      「そうだよね。同級会だって、行かなきゃ楽しくなかったんだもんね」

                       頭の中には、既に“離婚”という言葉が浮かんでいた。今まで何度も考えたことだ。でも、これほど、それが現実のものとして自分に迫ってきたことはない。

                       しかし、仕事を辞めてしまった今、すぐに離婚しても生活していくことなどできない。まずは仕事を探して経済的に独立することが先決だ。それができなければ、自分を捨てて夫にお世話になるしかない。
                      | 天国からの招き猫 | 09:29 | comments(0) | trackbacks(0) | - | ログピに投稿する |